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2024.09.19

再生可能エネルギーとは|メリット・デメリットを徹底解説

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激しさを増す気候変動や電気料金の高騰を受け、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの注目度が高まっています。持続的な成長と温室効果ガスの削減の両立を目指し、企業は再生可能エネルギーの導入を加速させています。そこで今回は、再生可能エネルギーとは一体どういうものなのか。種類やメリット、デメリットについて解説していきます。太陽光発電など再生可能エネルギーの導入を検討している方はぜひこの記事を参考にしてください。

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再生可能エネルギーとは

再生可能エネルギーとは太陽光、風力、水力などから生まれる自然の力から作り出すエネルギーです。石炭や石油、天然ガスなど埋蔵量に限りのある化石燃料とは異なり、一度利用しても、資源が枯れることなく再生して繰り返し使えるエネルギー源であることから「再生可能エネルギー」と呼ばれています。

再生可能エネルギーの特徴は大きくあげて3つあります。
1. 枯渇せず繰り返し使える
2. 気候変動を引き起こすCO2を排出しない
3. 日本国内で生産できる

太陽の光、風や水の力、あるいは地熱など自然界に常に存在する力を活用してエネルギーを作り出すことから、地球資源が存在する限り、再生可能エネルギーは石炭や石油、天然ガスのように枯渇する懸念がありません。さらにウクライナ侵攻など国際情勢の変化によって、化石燃料の市場価格は乱高下しますが、再生可能エネルギーは国際市況の影響を受けにくく、価格が安定しているという特徴も持っています。

台風や豪雨による洪水や、酷暑による熱中症など気候変動は私たちの生活や企業活動を脅かしています。その気候変動を引き起こす原因の一つが化石燃料から排出されるCO2です。
特に電力の72.7%(2022年度速報値、出典:経済産業省資源エネルギー庁 基本政策分科会 https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/2023/054/054_004.pdf)は石炭や天然ガス、石油などの化石燃料で作られており、日々の企業活動などを通じて大気中に多くのCO2が排出されています。
一方、再生可能エネルギーは発電時にCO2を排出しないことから、気候変動を防ぐ上でも重要なエネルギー源に位置付けられています。

さらに日照量が豊富な地域や風況の良い地域、地下に地熱エネルギーが眠る地域など、日本各地でエネルギーを作ることができるため、純国産エネルギーを増やすことにもつながります。

再生可能エネルギーの定義

再生可能エネルギーは各法律によって定義されています。
電気やガス、石油などのエネルギー供給事業者に対して、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー源の利用を促進する「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律」(エネルギー供給構造高度化法)では、「非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用することができるもの」と定義されています。
具体的には、「太陽光」「風力」「水力」「地熱」「太陽熱」「大気中の熱その他の自然界に存在する熱」「バイオマス」が定められています。

また再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)においては、「太陽光」「風力」「水力」「地熱」「バイオマス」の5つが買い取りの対象となっています。

なぜ、再生可能エネルギーが求められるのか

再生可能エネルギーが求められる背景には、私たちがかつてないほどの気候変動に直面しているという切迫した現実があります。
2024年1月、EUの気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」は、2023年の世界平均気温が観測史上最も高く、産業革命以前と比べて1.48℃高かったと報告しました(出典:気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」https://climate.copernicus.eu/copernicus-2023-hottest-year-record)。

世界の気候学者は、「このままでは気温の上昇を1.5℃までに抑えることを目指したパリ協定の目標を2024年にも超えてしまう」と警鐘を鳴らしており、一刻も早い対応が求められています。
気候変動を止めるには温室効果を引き起こすCO2を減らすことが不可欠です。そのため発電時にCO2を排出しない再生可能エネルギーの大量導入が欠かせないと、日本企業は導入を加速させているのです。

また資源に乏しい日本は、電力や都市ガスなどのエネルギー供給のうち、石炭や天然ガス、石油などの化石燃料が8割以上を占めている上、そのほとんどを海外に依存しています。特に東日本大震災後の2013年度のエネルギー自給率は6.5%まで低下するなど、日本のエネルギー安全保障を大きく揺るがしかねない事態となっていました。
実際、ロシアによるウクライナ侵攻や中東情勢の緊迫化により、エネルギー価格が高騰するなど、日本をはじめ世界の国々がエネルギー危機に直面しました。
地政学的リスクの回避に向けてはエネルギー自給率の向上、つまり純国産である再生可能エネルギーの普及が欠かせません。日本政府は2030年度までに再生可能エネルギーの主力電源化などを実現することで、エネルギー自給率を30%まで高める目標を掲げています

再生可能エネルギーの主な種類

再生可能エネルギーには様々な種類があり、その特徴も多岐にわたります。代表的なものでも下記の通り9種類あります。
・太陽光発電
・風力発電
・水力発電
・地熱発電
・バイオマス発電
・太陽熱利用
・雪氷熱利用
・温度差熱利用
・地中熱利用


上記の中でも特に技術革新により低コスト化が進み、安定的な電力供給およびCO2削減に向けて普及が進む「太陽光発電」「風力発電」「水力発電」「地熱発電」「バイオマス発電」について解説していきます。

太陽光発電とは メリットとデメリットを解説

太陽光発電は、シリコン半導体などに光が当たると電気が発生する現象を利用し、太陽の光エネルギーを太陽電池(半導体素子)により直接電気に変換する発電方法です。
日本における太陽光発電の導入量は、2012年からスタートしたFIT制度によって急速に拡大しており、FIT制度開始前の累積導入量が560万kWだったのに対し、2023年3月時点には7,070万kWまで拡大。政府は2030年度までに10,350〜11,760万kWまで増やす目標を掲げています。

太陽光発電の特徴
エネルギー源が太陽の光であるため、日射量さえ確保できれば、どんな場所にでも設置できる 屋根や壁面などにも設置できることから、未利用スペースを有効活用できる 送電設備のない遠隔地(山岳地や農地など)の電源として活用できる 停電や災害時に非常用電源として利用できる 作った電気は電力会社に売ることができる(FIT制度)

火力発電などに比べ発電コストが高いとされていた太陽光発電ですが、コスト低減が急速に進んでいます。国が実施した最新の入札(2024年3月公表)結果によると、最低落札価格が1kWhあたりなんと0.00円、加重平均価格は5.11円となり、石炭や天然ガスよりも安い電源になりつつあります(出典:電力広域的運営推進機関 https://nyusatsu.teitanso.or.jp/servlet/servlet.FileDownload?file=00PGA00000jf8Gk)。
日本においても太陽光発電が主力電源になりつつあるものの、その一方で課題も残っています。

太陽光発電の課題
時間帯や天気、季節によって発電量が変わってしまう 発電量と電力消費の予測にもとづいた需給調整や、蓄電池などを利用した電力調整機能の確保が必須 急激な導入拡大により国民負担が増加 土砂災害を引き起こすなどトラブルが発生

変動電源である太陽光発電が急激に増加すると電力の需給バランスが崩れ、最悪の場合、停電を引き起こす恐れもあります。そのため太陽光発電の変動を吸収して全体の発電量を整える調整機能を持つ電源の確保などが急がれています。
また自然環境や景観の保全を目的とした自治体条例も増えており、いかに地域と共生しながら導入を推進していくかも課題となっています。

風力発電とは メリットとデメリットを解説

風力発電は、風の力を利用して発電する方法です。風を受けて風車などが回転し、そのエネルギーを発電機に伝えることで電力を生み出します。
しかし、欧米や中国に比べると導入は遅れており、国が掲げる2030年度の導入目標2,360万kWに対して、520万kW(2023年3月時点)にとどまっています。そこで政府は海に囲まれた日本の特徴を活かすことができる洋上風力を「再生可能エネルギーの切り札」と位置付け、2030年までに1,000万kW、2040年までに浮体式洋上風力も含めて3,000〜4,000万kW導入するという目標を打ち出しています。

風力発電の特徴
風がエネルギー源となるため、資源枯渇の懸念がない 大規模に発電できれば発電コストが火力発電並みであることから、高い経済性が期待されている 風車の高さやブレード(羽)によって異なるものの、変換効率が高い 一定の強さの風が吹いていれば昼夜問わずいつでも発電できる

風力発電は陸上、洋上いずれでも発電が可能という特徴も持っており、それぞれの概要は下記の通りです。

陸上風力発電
発電設備は陸地に設置 安定した風速が見込める山岳部や海岸沿いなどに設置される

洋上風力発電
発電設備は海上に設置 洋上は陸上に比べて風況がよく、陸上より大きな風車を建設することが可能 国土が狭く、四方を海に囲まれた日本にとって相性の良い発電方法である

一方で下記のような課題があります。

風力発電の課題
発電コストが高い 発電量が風の状況に左右されるため、安定的な発電が難しい 大規模な発電になると大型風車が並ぶため、騒音や景観に影響を与える可能性がある

陸上風力発電の発電コストは世界が1kWhあたり5.6円に対し、日本は17.4円(2023年上半期時点)と依然として高く、さらなるコスト低減が欠かせません(出典:経済産業省資源エネルギー庁 調達価格等算定委員会 https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/087_01_00.pdf)。
その一方で2023年12月、国が秋田県沖などで実施した大規模な洋上風力発電の入札において、複数の事業者が1kWhあたり3円という石炭や天然ガスよりも大幅に安い価格で落札するなど、洋上風力発電では急速なコスト低減が進んでいます(出典:経済産業省資源エネルギー庁 https://www.meti.go.jp/press/2023/12/20231213003/20231213003-1.pdf)。
政府は大量導入に向けて、日本の広大なEEZ(排他的経済水域)に洋上風力を設置できるよう法整備を進めています。しかし、EEZは海底の地形が急峻で、水深が深い場所が多いため、「コストがかかり採算性が取れないのではないか」との指摘もあります。さらに環境アセスメントや漁業関係者との合意形成といった課題もあります。

水力発電とは メリットとデメリットを解説

水力発電は、水が高いところから低いところへ落ちる力を利用して、水車を回して電気を作る発電方法です。ダムを作り、川の水をためてから落とす大規模水力と、川の水をそのまま落とす中小水力に大別されます。
水資源に恵まれた日本では、発電への利用も古く、ダムなどの大型施設を建造する大規模水力発電は明治期より建設されてきました。しかし、環境破壊や巨額の資金が必要になるなどを理由に、ダム建設は減少。大規模水力発電に代わって増えているのが3万kW未満の中小水力発電です。
3万kW未満の中小水力はFIT制度の買い取り対象にもなっています。

水力発電の特徴
渇水リスクを除けば、自然条件によらず安定した発電が可能 一度発電所を作れば、50年あるいは100年にわたる長期稼働が可能 燃料費がかからず、発電時にCO2を排出しない 長い発電の歴史を通じて多くの技術やノウハウが蓄積されている

100年もの長期にわたり安定した発電ができる中小水力発電に対して、国も普及を推進。2030年度までに1,040万kW導入する目標を掲げています。ただし、中小水力にもさまざまな課題があります。

中小水力発電の課題
建設地が河川の上流や山間部などに限られる 河川流況(1年を通じた川の流量)の長期調査などが必要であり、リードタイムが長く、開発リスクが高い 奥地かつ発電量が小さいため、発電コストが高い 環境影響に対する理解促進や水利権などの調整など、地元自治体、住民との合意形成が不可欠

全国小水力利用推進協議会では、日本における小水力発電(1,000kW以下)の開発ポテンシャルは300万kWあると試算しています。しかし、開発リスクの高さや水利権の調整などに時間がかかるといった課題から、開発は十分に進んでいません。
そこで政府は長期にわたる流量調査などに対して補助金などを実施することで、中小水力の拡大を図っています。

地熱発電とは メリットとデメリットを解説

地熱とは地球内部の熱のことで、この熱で作られた地下の熱水や蒸気を地上へと汲み上げ、その力を利用してタービンを回して発電します。
発電に使ったあとの熱水は再び地下に戻します。このサイクルを繰り返すことで、安定的に地下から熱水や蒸気を取り出すことができるため、持続的な発電が可能になります。

日本は世界有数の火山国であることから、地熱利用は戦後すぐに注目され、1966年には日本初の本格的地熱発電所が運転を開始しました。

地熱発電の特徴
燃料費がかからず、CO2排出量がほぼゼロ 昼夜問わず安定的に発電することが可能 日本の地熱資源量は世界第3位であり、導入ポテンシャルが高い 発電に使った高温の蒸気や熱水は、農業用ハウスや魚の養殖、地域の暖房などに再利用できる

日本の地熱資源量は2,347万と世界第3位(出典:経済産業省 資源エネルギー庁 https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/energykihonkeikaku2021_kaisetu04.html)であるのに対し、導入量は60万kW(2023年3月時点、出典:経済産業省 資源エネルギー庁 調達価格等算定委員会 https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/087_01_00.pdf)にとどまっています。導入の障壁になっているのが開発リスクの高さや建設地を巡る環境です。

地熱発電の課題
地熱発電の開発は掘削調査から発電設備の建設まで、14年程度かかるため、開発リスクが高い 地下深くに眠る地熱資源を探し当てるには高度な技術が必要 熱源の多くが火山や自然公園、温泉などの近くにあり、発電所を作れる場所が限られる 温泉が渇水するとの懸念が拭えず、地元関係者との調整が難しい

政府は地熱発電の普及拡大に向け、開発事業者に対する出資や債務保証などの支援のほか、井戸の掘削技術の推進や環境に与える影響を調べる「環境アセスメント」に必要な期間を短縮するための実証事業などを進めています。
これら施策によって、2030年度までに150万kW導入する方針です。

バイオマス発電とは メリットとデメリットを解説

バイオマス発電は、廃木材や植物残渣、家畜の排泄物、食品廃棄物など動植物から生まれたバイオマス(再生可能な生物資源)を燃料として「直接燃焼」したり、「ガス化」することでタービンを回し発電する方法です。
バイオマス発電は生物資源を燃やすため、発電時にCO2を排出してしまいます。しかし、木材などはCO2を吸収して成長することから、排出と吸収によって、全体で見れば大気中のCO2の量に影響を与えない「カーボンニュートラル」な電源と見なされています。

日本では太陽光発電に次ぐ導入量を誇っており、2023年3月時点の導入量は690万kWに達しています。国は2030年度までに800万kWを導入する目標を掲げていますが、FIT認定量などを合わせた総数が1,070万kWとなっており、すでに目標値を超えています(出典:経済産業省 資源エネルギー庁 調達価格等算定委員会 https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/087_01_00.pdf)。
バイオマス発電の特徴は下記の通りです。

バイオマス発電の特徴
昼夜問わず安定した発電ができる 未活用の廃棄物を燃料にすれば、廃棄物の減少につながり、循環型社会の構築に寄与できる 木材需要の拡大が図れれば、林業の活性化につながる 間伐材や家畜の排泄物などをエネルギーとして利活用できれば、農村や漁村に 新たな産業を生み出すことができる

地域の活性化にも役立つ可能性を持つバイオマス発電ですが、その一方で、課題も抱えています。

バイオマス発電の課題
バイオマス発電は他の再生可能エネルギーとは異なり、「燃料」が必要 燃料を20年以上の長期にわたり安定的かつ安価に調達できるかが課題 ヤシ殻など燃料源の生産地である東南アジアなどで森林伐採などを引き起こす恐れ 燃料の生産・加工過程および輸送時にCO2を排出してしまう

木材を利用したバイオマス発電のコストは、燃料費が約7割を占めるとされており、燃料を安定的に調達できなれば、発電コストが上昇する恐れがあります。また燃料の生産・加工、輸送時、さらに発電時にもCO2を排出するため、結果として火力発電のCO2排出量を上回る可能性も指摘されています。
その結果、欧州などでは一般木材などを燃やす大規模なバイオマス発電に対して、FIT制度などの対象から外しており、日本においても導入量は年々、減少しています。

再生可能エネルギーのメリットとデメリット

日本は今、温室効果ガスの排出量をゼロにする脱炭素社会の構築に向けて、「2050年カーボンニュートラル」の実現に取り組んでいます。「カーボンニュートラル」と「エネルギー自給率の向上」を同時に達成できるのが、再生可能エネルギーです。現在の日本において再生可能エネルギーが持つ以下の5つのメリットが特に重要となっています。

再生可能エネルギーが持つ5つのメリットとは

1. 温室効果ガスを排出しない
再生可能エネルギーは、発電時にCO2をはじめとする温室効果ガスを排出しない持続可能なエネルギー源です。カーボンニュートラルの達成と経済成長、いずれの実現を目指す日本にとって、必要不可欠な電源となっています。
政府は2030年度までに電源構成に占める再生可能エネルギーの割合を36〜38%に高める方針です。
さらに2024年度から、日本のエネルギー政策の基本方針を表す「エネルギー基本計画」の見直しを本格化させます。見直しにあたっては、2023年に日本で開催したG7広島サミットなどで明示された「2035年の温室効果ガス排出削減目標を2019年比で60%削減する」という数値が焦点の一つになっています。
2050年のカーボンニュートラル実現に向けては、2035年の削減目標の厳格化は避けられず、さらなる再生可能エネルギーの導入拡大策が欠かせない状況です。

2. 枯渇する恐れがない
再生可能エネルギーは太陽の光や風、水資源、熱源や木材など、国内にある自然由来のエネルギー源で発電するため、化石燃料のように枯渇する恐れがありません。

3. 純国産のエネルギー源である
日本は先進工業国であるにもかかわらず、エネルギー資源に乏しく、石炭や石油、天然ガスのほとんどを海外に依存しています。ウクライナ侵攻や中東の緊迫化により、世界中で天然ガスなどのエネルギー価格が高騰し、そこに円安が重なったことで、日本でも電気料金や物価などでインフレが進み、今なお国民生活や企業活動に大きな影響を与えています。
国際情勢や為替影響を最小限にするためにも、エネルギー自給率の向上は喫緊の課題となっています。
純国産のエネルギーである再生可能エネルギーの拡大は、エネルギー自給率向上に大きく貢献します。

4. 地域経済への貢献
財務省の貿易統計によると2022年度の石炭や天然ガス、石油などの鉱物性資源の輸入額が35兆円を超えたことで、日本の貿易収支は21兆円を超える貿易赤字を記録しました。
化石燃料の海外依存を続ければ、少なくとも毎年15〜20兆円もの国富が流出し続けます。
しかし、地域資源を使って再生可能エネルギーを生み出し、それを地域のお金に変えることができれば、国富の流出を防ぐのみならず、地域経済を潤すことも可能になります。

5. 非常用電源としての利用
台風や豪雨による洪水、土砂災害など気候変動が激しさを増す中、2024年1月には能登半島地震が発生するなど自然災害は増加の一途をたどっています。
南海トラフ地震や首都直下地震といった大規模地震の発生リスクが高まる中、万が一災害が起こり、停電が発生しても、太陽光や風、水など自然の力で発電できる再生可能エネルギーは非常用電源として利用できます。

再生可能エネルギーのデメリットとは

再生可能エネルギー、特に太陽光発電や風力発電のデメリットは発電量が気象状況に左右されるため、安定的な発電が難しい点にあります。
デメリットとして下記の3つがあげられます。

1. 安定的な発電が難しい
太陽光発電や風力発電の発電量は時間帯や天気、季節に左右されてしまいます。
電力は需要と供給の一致が不可欠であり、需給バランスが崩れると停電をまねく可能性があります。そのため、再生可能エネルギーの導入拡大にあたっては、太陽光発電や風力発電がもたらす変動を吸収して全体の発電量を整える蓄電池などの普及が欠かせません。

2. 発電コストの高さ
太陽光発電や洋上風力発電の発電コストは急速に低下し、火力発電など他の電源と比較しても競争力のある電源になり始めています。
一方、昼夜問わず安定した発電が可能な中小水力発電や地熱発電の発電コストは依然として高い状況です。
例えば2024年度の中小水力発電(200kW)のFIT買取価格が1kWhあたり29円であるのに対し、ドイツは15円を切る水準、フランスは10円を下回る水準になっています(出典:経済産業省 資源エネルギー庁 調達価格等算定委員会 https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/087_01_00.pdf)。
長いリードタイムや多大なコストなどを理由に、導入が限定的なものにとどまっているという背景があります。国は投資リスクを低減し、事業者が安心して開発に着手できるよう、FIT買取価格をあらかじめ複数年提示したり、環境アセスメント手続きの迅速化などを図ることで普及を急ぐ考えです。

3. 設備利用率が低い
発電設備がどのくらい有効に使われているのかを表す指標に「設備利用率」があります。
設備利用率が高ければ、1つの発電設備から多くの発電量を得ることができます。一方、設備利用率が低ければ、多くの発電設備を建設しなければならず、その結果、敷地面積が増えてしまいます。
例えば太陽光発電で原子力発電所1基分(100万kW)を代替するには、約58平方キロメートル(山手線の内側面積とほぼ同じ)の面積が必要だと試算されています。風力発電で代替する場合、敷地面積は約214平方キロメートルにのぼります。
再生可能エネルギーの設備利用率は下記の通りです。

再生可能エネルギーの設備利用率(2022年6月〜2023年5月までの平均値)
太陽光発電(1,000kW以上):15.6%
陸上風力発電(50kW以上):24.5%
地熱発電(1,000kW以上15,000kW未満):82.7%
中小水力発電(1,000kW以上5,000kW未満):58.8%
一般木材等バイオマス発電(10,000kW以上):62.8%

(出典:経済産業省 資源エネルギー庁 調達価格等算定委員会 https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/20240207_1.pdf

技術革新により、再生可能エネルギーの設備利用率は年々、向上していますが、国土の狭い日本においてさらなる導入拡大を図るには、一層の向上が求められています。

日本における再生可能エネルギーの現状

日本における再生可能エネルギーの現状について、電源構成に占める割合から見てみます。
2013年度10.9%だった電源構成比は、2021年度には20%を超えました。2022年度は1.4ポイント上昇し、21.7%となり、基幹電源になりつつあります。
エネルギー起源のCO2排出量も着実に減少しており、2013年度12.4億トンだった排出量は、2022年度に9.6億トンに減少しています。
エネルギー自給率も再生可能エネルギーの増加により向上しており、2013年度6.5%だった自給率は2022年度には12.6%になっています。

再生可能エネルギーの割合

日本においても、主力電源として再生可能エネルギーは着実に普及しています。その割合は下記の通りです。

再生可能エネルギーが電源構成に占める割合

電源 2022年度 2030年度(政府目標)
再生可能エネルギー 21.7% 36〜38%
(3,360〜3,530億kWh)
内訳 太陽光発電 9.2% 14〜16%
(1,290〜1,460億kWh)
風力発電 0.9% 5%
(510億kWh)
水力発電 7.6% 11%
(980億kWh)
地熱発電 0.3% 1%
(110億kWh)
バイオマス発電 3.7% 5%
(470億kWh)

出典:経済産業省資源エネルギー庁(https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/2023/054/054_004.pdf)をもとに作成

政府は2030年度までにCO2排出量を46%削減(2013年度比)する目標を掲げており、2030年度の再生可能エネルギー比率は36〜38%まで上昇させる方針です。
さらに2024年度からは、2035年のCO2削減目標の策定議論が本格化します。削減目標の大幅な上積みが予想されており、さらなる再生可能エネルギーの導入対応策が議論される見込みです。

再生可能エネルギーの普及に向けて

政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」の実現には、産業や運輸などあらゆる企業活動で使われる「電力の脱炭素化」が不可欠です。
特にプライム市場に上場する1,651社(2024年4月時点)は、温室効果ガス排出量の増加に伴って激しさを増す気候変動が、自社事業に与える影響について情報開示することが義務付けられています。再生可能エネルギーの導入など気候変動対策を怠れば、企業価値が下がる可能性があり、企業は持続的な成長を目指して、再生可能エネルギーの導入を加速させています。
相対的に安価な取り組みとして、今、注目されているのがオフサイトコーポレートPPAです。
オフサイトコーポレートPPAとは、企業の敷地外(オフサイト)に発電事業者が太陽光発電設備を新設し、その設備から発電される電力を長期(通常10〜25年)購入する契約です。
PPAとは電力購入契約(Power Purchase Agreement)の略で、小売電気事業者が発電事業者から電力を調達するために締結し、企業は小売電気事業者から太陽光発電由来の電力を購入します。

オフサイトコーポレートPPAは企業にとって3つのメリットがあります。
1. 設備投資がかからない
発電事業者が太陽光発電設備を設置するため、企業は自ら設備投資をすることなく、再エネ電力の調達が可能になります。
2. 大量の再エネが調達可能に
オフサイト(敷地外)に発電設備を設置するため、立地スペースの制約を受けにくく大量の再エネ電力が調達できます。発電した電力は複数の事業所にも送電することができるため、グループ内の企業で再エネ電力を使うことも可能になります。
3. 電気料金の安定
太陽光発電は海外情勢や市場価格の変動リスクなどに影響されることのない太陽光をエネルギー源にしているため、電気料金の安定化を図ることが可能になります。



コーポレートPPAの普及は急速に拡大しており、2022年度の導入量は50万kWに達したと推計されています(出典:経済産業省 資源エネルギー庁 調達価格等算定委員会 https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/091_01_00.pdf)。

コーポレートPPAはFIT制度などを利用しない導入モデルであることから国民負担の抑制につながります。国も普及を後押ししており、経済産業省では2024年度、100億円の予算を計上して、「需要家主導型太陽光発電・再生可能エネルギー電源併設型蓄電池導入支援事業」(出典:経済産業省 https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2024/pr/pdf/pr_energy.pdf)を実施しています。

まとめ

国が目指す「2050年カーボンニュートラル社会」の実現に向けた潮流は、大手企業のみならず中小企業まで波及しています。
トヨタ自動車や日立製作所、ソニーグループ、積水ハウスなど多くの企業がサプライヤーに対し、再生可能エネルギーの利用を要請しており、企業規模にかかわらず再エネ電力の調達ニーズは拡大しています。

再生可能エネルギーが持つメリットとデメリット、それぞれを理解し、うまく組み合わせることで、自社のCO2排出量の削減と持続的な企業成長を目指すことが重要です。

FPSでは最大400万kWの需給管理実績を持っており、複雑なPPAスキームをお客さまに応じてカスタマイズし、最適なエネルギーソリューションを提供しています。
PPA導入後も電力の過不足を精度高く調整できるため、電気料金を抑えることも可能です。
コーポレートPPAなどの導入を検討されている方々はお気軽にお問い合わせください。

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