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2024.11.11

再生可能エネルギーを巡る日本と世界情勢 政策動向から未来の展望まで

再生可能エネルギーを巡る日本と世界情勢 政策動向から未来の展望まで

日本をはじめ150を超える国や地域が2050年のカーボンニュートラル達成を表明し、世界中でCO2を排出しない再生可能エネルギーの導入が加速しています。
ところが、産業革命を上回る社会変革であるにもかかわらず、残された時間は30年もありません。非常に短い時間軸の中でCO2ゼロを実現させねばならないため、世界各国は大規模な再エネ投資を繰り広げています。
そこで今回は再生可能エネルギーの世界情勢から、日本の現状と将来展望まで詳しく解説します。

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再生可能エネルギーの世界的な概況

国際エネルギー機関(IEA)は2024年1月、2023年の世界の再生可能エネルギー(再エネ)の導入量が約5.1億kW(前年比50%増)となり、過去20年間で最も高い成長率を記録したと発表しました(出典:IEA「 Renewables 2023」https://www.iea.org/reports/renewables-2023)。 ウクライナ危機や中東情勢の緊迫化を受け、世界で再エネの導入が加速。約5.1億kWのうち4分の3を太陽光発電が占めました。

欧州、アメリカ、ブラジルの導入量が過去最高を記録する中、驚異的な成長を遂げたのが中国です。太陽光発電の年間導入量は、2022年の世界導入量に匹敵する2億kWを記録。風力発電の増加率は1.6倍でした。

再エネへの投資は今後も続き、2028年までに73億kWが導入されると予測しています。この成長軌道のもと、2030年までに発電容量は現在の2.5倍に達する見通しです。 しかし、IEAはこの成長ペースですら、2023年のCOP 28(気候変動枠組条約締約国会議)で合意した「2030年までに再エネの発電容量を世界全体で3倍にする」という目標には届かないと警鐘を鳴らしています。IEAは「再エネ3倍」目標の達成には、少なくとも110億kWの発電容量が必要だと指摘しています。

グローバル市場の成長動向

グローバル市場を牽引するのが中国、EU、アメリカです。

中国

再エネ大国となったのが中国です。
2023年の世界市場は、中国の太陽光発電導入量に牽引されたことで、大幅な増加をたどりました。IEAは、2023〜2028年までの5年間に20億kWを超える再エネが導入されると予測。「再エネ3倍目標を達成するには中国の役割が極めて重要だ」と指摘します。

中国における再エネの増加予測 2005〜2028年
2005〜2010年:1.4億kW
2011〜2016年:3.2億kW
2017〜2022年:6.8億kW
2023〜2028年:21億kW

出典:IEA「Renewable2023」(https://www.iea.org/data-and-statistics/charts/renewable-electricity-capacity-growth-in-china-main-case-2005-2028

EU

ウクライナ侵攻を機にロシア産化石燃料からの脱却と脱炭素を加速させているのがEUです。
再エネの普及が急ピッチで進み、IEAは2028年までの導入量は過去5年間と比べて2倍以上に増加すると予想しています。

EUにおける再エネ増加予測 2005〜2028年
2005〜2010年:8,960万kW
2011〜2016年:1.4億kW
2017〜2022年:1.9億kW
2023〜2028年:4.3億kW

出典:IEA「Renewable2023」(https://www.iea.org/data-and-statistics/charts/renewable-electricity-capacity-growth-by-country-or-region-main-case-2005-2028

アメリカ

アメリカで再エネ普及のブームを形成したのが、2022年に成立した「インフレ削減法(IRA)」です。
IRA(Inflation Reduction Act)とは、エネルギー安全保障と気候変動対策につながる産業を対象に、税控除や補助金などを通じて3,690億ドル(約55兆円)を投じる政策です。
IEAでは、「IRAが再エネ普及を加速させており、2028年までの導入量は過去5年と比べ2倍以上増加する」と予測しています。

アメリカにおける再エネ増加予測 2005〜2028年
2005〜2010年:3,950万kW
2011〜2016年:8,670万kW
2017〜2022年:1.6億kW
2023〜2028年:3.4億kW

出典:IEA「Renewable2023」(https://www.iea.org/data-and-statistics/charts/renewable-electricity-capacity-growth-by-country-or-region-main-case-2005-2028

IEAは、2028年までの間に世界の電源構成が一変すると予測します。
・2025年には、再エネが石炭火力を超えて最大の電源となる
・2028年には、再エネの発電量が世界の42%以上を占め、風力発電と太陽光発電の割合が25%に達する

主要国における政策と取り組み

どの国も気候変動のリスクから逃れることはできず、世界各国は再エネの普及と経済成長の両立を目指し、大胆な政策を推進しています。そこで主要国における政策と取り組みについて解説します。

EU

欧州委員会は2024年2月、温室効果ガス排出量を2040年に1990年比で90%削減する「EU Climate Target for 2040」を発表しました。これまでEUは2030年55%削減、2050年のネットゼロを掲げてきましたが、中間目標を示すことで再エネなどの導入を一層加速させる狙いです。
またEUでは、ネットゼロを達成するうえで欠かせない再エネなどの生産能力の拡大を支援する「ネットゼロ産業法(Net-Zero Industry Act)」にも合意。官民合わせて約160兆円(2020年表明時点における金額)を投じる計画です。
さらに2026年から国境炭素税(CBAM)の本格導入にも合意しています。
国境炭素税とは、気候変動対策が緩い国からの輸入品に関税を課すもので、「鉄鋼、セメント、アルミニウム、電力」などが対象です。気候変動対策に取り組むEU企業の国際競争力の維持や、産業の空洞化を防ぐ狙いがあります。

その一方で、エネルギー危機と移民流入による治安の悪化などとあわせ、過大な負担となりつつある「脱炭素疲れ」が目立ちはじめたという指摘もあります。「CO2の排出は規制する」という政策への不満は産業界から噴出しており、環境と産業の両立に苦心しています。

ドイツ

ドイツは2023年、再生可能エネルギー法を改正し、2030年に電源構成に占める再エネ比率を従来目標だった65%から80%にまで引き上げることを表明しました。

再エネ導入目標は次の通りです。
太陽光発電
2021年5,890万kW→2030年2.2億kW
洋上風力発電
2021年770万kW→2030年3,000万kW
陸上風力発電
2021年5,620万kW→2030年1.2億kW

出典:経済産業省 資源エネルギー庁 基本政策分科会(https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/2023/053/053_004.pdf

またドイツは2002年に脱原発を法制化、段階的に原発を閉鎖し、2023年4月に脱原発を完了させました。さらに遅くとも2038年までに石炭・褐炭火力発電所を全廃する方針も示しています。
その一方で、電力需給のひっ迫や電気料金の高騰などに直面しており、対応が急務となっています。

イギリス

イギリスは2030年までに電力の95%を低炭素化すると表明しています。
さらに2022年4月には、ウクライナ侵攻によるエネルギー危機に対応するべく「エネルギー安全保障戦略」を発表しました。

エネルギー安全保障戦略
洋上風力発電
2030年までに最大5,000万kWを導入
太陽光発電
現在の1,400万kWから2035年までに5倍となる7,000万kWまで増強

出典:経済産業省 資源エネルギー庁 基本政策分科会(https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/2023/053/053_004.pdf

ただし、洋上風力発電の開発は低迷し、その勢いを失いつつあります。
イギリスは世界第2位となる14GWの設備容量を誇りますが、2023年に実施した入札(ラウンド5)で、はじめて「落札者なし」となり不調に終わりました。
インフレによる開発費用の増加、金利上昇による資金調達コスト増などがその理由です。事業者は損失を抱え、入札済み案件からの撤退、あるいは中止に追い込まれる事態も発生しています。
イギリス政府は2024年に入り、入札の上限価格を引き上げるなど支援を拡充し、停滞に歯止めをかける考えです。

アメリカ

アメリカは2035年までに電力部門の100%を脱炭素化するという目標を掲げています。
バイデン政権が目指す2030年までに温室効果ガス50〜52%削減(2005年比)、2050年カーボンニュートラル実現の切り札と期待されたのが、インフレ削減法(IRA)です。

IRAは再エネと脱炭素に大きな潮流をもたらしています。
アメリカ政府は2023年12月、バイデン政権発足以来、民間企業におけるアメリカのクリーン事業への投資計画が3,600億ドル(約55兆円)を超えたと発表しました。
EIA(Energy Information Agency、米国エネルギー情報局)は、IRAの支援もあり2028年には太陽光発電の設備容量が現状の1.5億kWから3.8億kWに拡大すると予測しています。

洋上風力で浮上した課題
その一方で、アメリカでもグローイングペイン(成長に伴う痛み)が顕在化しています。
洋上風力最大手のオーステッド(デンマーク)は2023年第3四半期決算で55億ドル(約8,500億円)の減損を計上し、アメリカ国内の洋上風力プロジェクトの中止を表明しました。
BPもアメリカ東部の洋上風力発電事業の不調により、2023年第4四半期決算で5.4億ドルの減損を計上。
アメリカ政府は入札の上限価格を引き上げるなど支援を拡充して、洋上風力発電の開発を後押しする方針です。

太陽光発電に対する懸念
急拡大する太陽光発電にも懸念が浮上しています。
太陽光パネルや原料生産で圧倒的なシェアを持つ中国とアメリカは貿易摩擦を繰り返しており、アメリカは中国から輸出された太陽光パネルに対し40〜275%までの関税を課しています。
その結果、中国から輸出される太陽光パネルのシェアはごく少数にとどまり、一方でベトナム、マレーシア、タイ、カンボジアの4ヶ国がアメリカ市場の65%(2021年時点)のシェアを占めました。

2022年2月、アメリカの太陽光パネルメーカー、Auxin Solarが商務省に対し、東南アジア(ベトナム、マレーシア、タイ、カンボジア)からアメリカへの出荷は、中国企業による「迂回輸出」ではないかと訴えました。商務省は2022年6月、2年間の関税免除措置を適用し、その間に調査すると表明。その期限が2024年6月に迫っています。

「迂回輸出」と認定されれば最大で250%の輸入関税が課されるため、太陽光パネルのコスト上昇は避けられず、開発が停滞するのではないか、との懸念が広がりつつあります。

中国

中国は、2030年までに温室効果ガス排出をピークアウトさせ、2060年までにカーボンニュートラルを達成すると表明しています。
また2025年までに電源構成に占める再エネ比率を39%にするという目標も打ち出しています。

2030年の再エネ発電設備の導入目標は次のとおりです。
風力発電設備容量:12億kW
太陽光発電設備容量:12億kW

出典:独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(https://oilgas-info.jogmec.go.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/010/045/240215_Research1.pdf

IEAは中国の2030年目標について、「予定より6年早く、2024年にも達成するだろう」と予測しています。

再生可能エネルギーにおける日本の立場

日本は2020年10月、2030年温室効果ガス46%削減(2013年比)、2050年のカーボンニュートラル実現を宣言しました。
再エネの導入量は、2012年にはじまったFIT制度(固定価格買取制度)によって着実に増加しています。とりわけ急増したのが太陽光発電です。国別導入実績(2021年実績)では中国、アメリカに次ぐ世界第3位となる7,800万kWとなっています。
再エネ比率も上昇し、2011年度10.4%でしたが、2022年度には21.7%と倍増し、2030年度における目標は36〜38%です。

日本における再エネ導入の推移
出典:経済産業省 資源エネルギー庁 https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/cop28_saiene.html

2030年までの再エネ導入目標は次のとおりです。
太陽光発電
7,630万kW(2023年3月時点)→ 10〜12億kW
風力発電
520万kW(2023年3月時点)→ 2,360万kW
バイオマス発電
690万kW(2023年3月時点)→ 800万kW
地熱発電
60万kW(2023年3月時点)→ 150万kW
中小水力発電
990万kW(2023年3月時点)→ 1,040万kW

出典:経済産業省 資源エネルギー庁 調達価格等算定委員会(https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/087_01_00.pdf

2024年度からは、日本のエネルギー政策の基本方針を示す「エネルギー基本計画」の見直しが本格化します。日本においてもウクライナ侵攻や中東情勢の緊迫化で揺らいだエネルギーの安定供給が課題となる中、2035年度以降の電源構成の目標をどう定めるかが焦点の一つとなっています。
見直しにあたっては、2023年に日本で開催したG7広島サミットで明示された「2035年の温室効果ガス排出削減目標を2019年比で60%削減する」という国際公約がどう反映されるのか、注目が集まっています。

日本の再生可能エネルギーポリシー

日本政府は2023年2月、化石燃料中心だった産業構造を変革し、CO2を排出しないクリーンエネルギー中心の社会に転換する「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」を閣議決定しました。
2023年5月にはGX推進法が成立し、2050年の温室効果ガス排出ゼロの実現に向け、今後10年間で官民合わせて150兆円を超える投資を進めていく方針です。政府は150兆円のうち20兆円を先行投資として支援し、次世代太陽電池や浮体式洋上風力などに10年間で1兆円規模投じる考えです。

次世代太陽電池に対する政策
国土面積が狭い日本において、軽量かつ柔軟といった特徴を持つ「ペロブスカイト太陽電池」はビル壁面や窓などに設置できることから、次世代太陽電池の代表格として期待を集めています。
国も、技術開発において日本が世界最高水準に位置し、主原料であるヨウ素は日本が世界シェア30%を持つことから、実用化に向けた支援を拡充しています。さらにペロブスカイト太陽電池の需要を創出しようと、2024年度からFIT制度の買取対象の追加に向けた検討を開始する予定です。

洋上風力に対する政策
国は2030年までに1,000万kW、2040年までに浮体式洋上風力も含めて3,000〜4,500万kWを導入することを目標に掲げています。

特に海で囲まれた日本の排他的経済水域(EEZ)は世界で第6位の面積(447万平方キロメートル)があります。沖合など、より深い水深でも設置できる浮体式洋上風力の導入ポテンシャルが非常に高く、EEZでの導入に向け、法整備を進めていく予定です。

国内における成功事例と課題

日本でもっとも導入が進んでいる再エネは太陽光発電です。
他の再エネと比べてリードタイムが短いうえ、大量導入に伴いコスト低減が急速に進んだからです。国が実施した最新の入札(2024年3月公表)結果によると、加重平均落札価格が1kWhあたり5.11円となり、もっとも安い電源の一つになっています。

日本の太陽光発電のコストが世界に伍するまで低下する一方、電気料金は化石燃料の高騰により上昇。産業用電気料金は1kWhあたり23.4円(2022年平均、出典:経済産業省 資源エネルギー庁 電力・ガス基本政策小委員会 https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/pdf/067_03_00.pdf)と、依然として高い水準が続いています。

電気料金の安定化と脱炭素の達成に向け、一般企業による再エネ電力の調達ニーズが拡大しています。
導入が拡大しているのが、初期費用ゼロで太陽光発電由来の電力を購入できるコーポレートPPAです。コーポレートPPAとは、電力を必要とする企業の敷地内(オンサイト)、あるいは敷地外(オフサイト)に発電事業者が太陽光発電設備を新設し、その設備から発電される電力を長期(通常10〜25年)購入する契約です。
PPAとは電力購入契約(Power Purchase Agreement)の略で、小売電気事業者が発電事業者から電力を調達するために締結し、企業は小売電気事業者から太陽光発電由来の電力を購入します。

コーポレートPPAはFIT制度を利用しないため、国民負担の軽減にも貢献するという特徴があります。そのため国も補助金などを通じて普及を推進しており、2022年度の導入量は50万kWに達し(出典:経済産業省 資源エネルギー庁 調達価格等算定委員会 https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/091_01_00.pdf)、さらなる普及が見込まれています。

その一方で課題もあります。
事業活動で使う電力の100%を再エネで賄うことを目指す国際枠組み「RE100」は、日本について「コスト高、供給量の少なさ、電源種など調達手段が限定的」だとして、「韓国に次いで再エネ調達が難しい国」だと言及しています(出典:RE100 2023 Annual Disclosure Report https://www.there100.org/our-work/publications/re100-2023-annual-disclosure-report

コーポレートPPAの活用により、導入コスト・運用コストを低減できる一方、導入に際しての比較検討対象となる電気代相場についても、電力自由化以降の供給増加で低下傾向にあります。
また、企業としては自社で発電設備を保有することでの災害リスクや電磁波・パネルの反射について近隣住民への説明が必要となるなど外部コストが発生することも、再エネ導入のネックになっています。

2026年に控えている国境炭素税など、企業として再エネに取り組むインセンティブが増えることで導入が後押しされるため、今後も国際イニシアチブの進展や日本国内での政策支援が期待されます。

再生可能エネルギーの将来展望

IEAは2028年までの5年間で世界中で最低でも37億kWの再エネが新たに稼働すると予測しています。

世界の再エネ導入容量(累積)
2023年:約42億kW
2024年:約47億kW
2025年:約53億kW
2026年:約60億kW
2027年:約66億kW
2028年:約73億kW


世界の再エネ導入容量
出典:IEA「Renewable2023」https://www.iea.org/data-and-statistics/charts/cumulative-renewable-electricity-capacity-in-the-main-and-accelerated-cases-and-net-zero-scenario

特に太陽光発電と風力発電の増加率は際立っており、2028年時点で太陽光発電の累積導入量は約39億kWと全体の50%以上を占め、風力発電は17億kWに達すると予想します。
さらに各国政府が普及政策を強化すれば、2028年の累積導入量は約81億kWに達するとし、「COP28で合意した『再エネ3倍』目標は手の届くところにある。さらなる努力が必要だ」と指摘しています。

技術革新と市場の成長予測

国土が狭く、海に囲まれた日本にとって、再エネのさらなる普及拡大には技術革新が欠かせません。
国が再エネ導入の切り札として期待するのが、ペロブスカイト太陽電池と洋上風力発電です。

軽量で柔軟という特徴を持ったペロブスカイト太陽電池は、これまで設置できなかったビルの壁面や窓などに導入できることから、国は重点分野の一つに位置づけ、支援策を拡充しています。

ペロブスカイト太陽電池の支援戦略
2025年からの事業化 2020年代年央に10万kW/年規模の生産体制を構築する 2030年を待たずにGW(100万kW)級の量産体制を構築する

もう一つの切り札が洋上風力発電です。
国は2030年までに1,000万kW、2040年までに浮体式洋上風力も含めて3,000〜4,500万kWを導入することを目標に掲げており、すでに30ヶ所近くの海域で事業化に向けた取り組みを進めています(2024年2月時点)。

洋上風力発電における次世代技術が「浮体式洋上風力」です。
浮体式洋上風力は設備を海底に固定する従来方式に比べ、より水深の深い沖合でも設置できることから、その導入ポテンシャルは約4.2億kWと膨大です(出典:一般社団法人日本風力発電協会 https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/yojo_furyoku/pdf/001_04_01.pdf)。
大きな経済効果も期待されており、経済産業省では2030年約1兆円、2050年約2兆円を見込んでいます(出典:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 https://green-innovation.nedo.go.jp/article/renewable-energy-02/)。

一方で、コストが高い、大量生産技術が未確立といった課題もあります。
そこで国は浮体式洋上風力の技術開発を後押ししています。世界に先駆けて大量生産技術などを確立することで、日本のみならずアジア圏における再エネ拡大に寄与したい考えです。

気候変動対策との関連性

環境省は2024年4月、2022年度の温室効果ガス排出量が11億3,500万トンと前年度比で2.5%減少し、1990年度以降、過去最小になったと発表しました(出典:環境省 https://www.env.go.jp/press/press_03046.html)。

排出量減少の一つの要因が、エネルギー消費量の減少と再エネ比率の上昇です。2022年度の電源構成に占める再エネ比率は21.7%となり、前年度から1.3%増加しました。
伊藤信太郎環境大臣は、「2050年のネットゼロに向けて順調な減少傾向が続いているが、今後の進捗は予断を許さない状況だ。再エネの導入やライフスタイルの転換など具体的な施策を実施していく」と述べています(出典:環境省 https://www.env.go.jp/annai/kaiken/kaiken_00203.html)。

どの国も気候変動リスクから逃れることができず、再エネの大量導入を目指し、大規模な投資を繰り広げています。しかし、日本はまだ「価格、量、電源種」などに課題を抱えており、2050年ネットゼロ実現に向けては、さらなる技術革新が不可欠です。

FPSでは、再エネ電力を調達したいという企業に対し、電力消費量や設置条件などに応じた最適なエネルギーソリューションを提供しています。再エネ電力の調達を検討している方はお気軽にご相談ください。

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