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2025.01.15

メガソーラーとは?メリット、デメリットや費用と未来の展望

メガソーラーとは?メリット、デメリットや費用と未来の展望

温室効果ガスや電気代の削減に向け、CO2を排出しない再生可能エネルギーの電力源として、太陽光発電の普及が進んでいます。その中でも特に拡大しているのが、出力規模が1,000kWを超えるメガソーラーです。しかし、国土が限られる日本ではメガソーラーの新規開発に適した用地は減少傾向にあり、景観の悪化や土砂災害などの課題も浮き彫りになっています。
そこで今回は、メガソーラーのメリットやデメリット、設置費用を紹介するとともに、どのような未来展望が描けるのか、解説します。

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メガソーラーとは?基本の定義と概要

メガソーラーとは、太陽光発電の中でも出力が1,000kW(1MW)を超える大規模な太陽光発電設備の呼称です。一般家庭の屋根に設置する住宅用太陽光発電の出力が10kW未満であるため、その100倍もの発電容量を持っています。

太陽光発電の業界団体である一般社団法人太陽光発電協会によると、太陽光パネル1kWの年間発電量は約1,000kWhであることから、メガソーラーからつくられる電気の量は年間約100万kWhにものぼります。100万kWhといえば、一般家庭約240世帯が1年間に消費する電力量に相当します。

メガソーラーは数十万枚もの太陽光パネルを敷き詰めるため、広大な土地が必要になります。
環境省によると、1kWあたりおよそ8平方メートルの敷地面積が必要だとしており、1,000kWを超えるメガソーラーであれば、およそ1万平方メートルの土地が必要になる計算です。
1万平方メートルといえば、野球のグラウンドやサッカーフィールドとほぼ同じ面積です。そのため、メガソーラーは個人ではなく電力会社や民間企業などによって、発電事業の一環として運用されています。 メガソーラー

メガソーラー発電の基本原理

メガソーラーの発電原理は住宅用太陽光発電と同じです。
その仕組みは、シリコン半導体に光があたると電気が発生する現象を利用しており、シリコン半導体などでつくられた太陽光パネルが太陽の光エネルギーを吸収して、直接、電気エネルギーに変換して活用しています。
CO2などの温室効果ガスを排出しない発電方法として注目され、日本においてもメガソーラーは再エネを代表する電源になっています。

さらに太陽光パネルは日射強度に比例して発電するため、何十万枚もの太陽光パネルから構成されるメガソーラーは環境負荷の少ないクリーンな電力を多く生み出すことができることから、世界的に導入が進んでいます。

本と世界での普及状況

日本では2012年からはじまった「固定価格買取制度(FIT)」によって、再エネの導入が加速しました。
その中でも他の再エネと比べ、買取価格などの事業環境がいち早く整備され、建設までのリードタイムが短く、さらに維持管理が比較的容易であるメガソーラーに注目が集まり、日本各地で建設が相次いでいます。

太陽光発電の導入量7,070万kW(2023年3月末時点)のうち、メガソーラーの導入量は2,722万kWとなり、全体の約39%を占めています。

国土面積あたりの太陽光発電導入容量では、日本はすでに主要国の中で最大級となっています。

平地面積あたりの太陽光発電設備容量の国際比較
日本 平地面積:13万平方キロメートル
太陽光発電設備容量:66GW
ドイツ 平地面積:24万平方キロメートル
太陽光発電設備容量:59GW
イギリス 平地面積:21万平方キロメートル
太陽光発電設備容量:14GW
中国 平地面積:740万平方キロメートル
太陽光発電設備容量:308GW
フランス 平地面積:37万平方キロメートル
太陽光発電設備容量:15GW
スペイン 平地面積:32万平方キロメートル
太陽光発電設備容量:15GW
インド 平地面積:257万平方キロメートル
太陽光発電設備容量:52GW
アメリカ 平地面積:674万平方キロメートル
太陽光発電設備容量:118GW

国土面積・平地面積当たりの太陽光設備容量の各国比較 出典:経済産業省資源エネルギー庁「https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/saisei_kano/pdf/062_01_00.pdf」(43P参照)
※外務省HP(https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/saisei_kano/pdf/062_01_00.pdf」(43P参照)
※外務省HP(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/index.html)、Global Forest Resources Assessment 2020(http://www.fao.org/3/ca9825en/CA9825EN.pdf)、IEA Renewables 2022、IEAデータベース、2021年度エネルギー需給実績(確報)、FIT認定量等より作成


平地面積あたりの太陽光発電設備容量においても、日本が514kW/平方キロメートルと、2位ドイツの243kW/平方キロメートルと比べ2倍の規模になっています。

しかし、1,000kW以上のメガソーラーの導入量で比較すると、ドイツが推定50GW(2019年12月時点)であるのに対し、日本は27GW(2023年3月末時点)と、限られた平地面積ゆえの新規開発の難しさが浮き彫りになっています。

メガソーラー導入の具体的メリットとデメリット

急拡大したメガソーラーにはクリーンな電力を生み出し、温室効果ガスの削減に大きく貢献するという期待が集まっています。しかしその一方で、景観の悪化や土砂災害を引き起こすなどデメリットも指摘されはじめました。

メガソーラー導入のメリットとデメリット、それぞれについて解説していきます。

メガソーラーのメリット・導入する意義

メガソーラーのメリット・導入する意義には次のようなものがあります。

① 発電時にCO2など温室効果ガスの排出がない
② エネルギー安全保障およびエネルギー自給率の向上
③ 災害・停電時における非常用電源としての利用
④ 売電収入が得られる
⑤ 荒廃農地などの有効活用
⑥ 固定資産税などを通じた地域への貢献


2023年、世界の平均気温が観測史上最高となったように地球温暖化対策は待ったなしの状態です。温暖化の要因である温室効果ガスの削減に向けては、発電時にCO2などを排出しないメガソーラーが重要な役割を担っています。

ロシアによるウクライナ侵攻によって化石燃料が高騰し、世界はエネルギー危機に直面しました。日本もまた電力需給がひっ迫し、毎年のように節電要請が繰り返され、電気代も上昇しています。
一方、メガソーラーは火力発電とは異なり、燃料費がかからず、発電コストが一定という特徴を持っています。
ウクライナに加え、中東情勢が緊迫する中、メガソーラーの導入は化石燃料の価格変動など国際情勢に影響を受けることなく、電力の利用を可能とするうえ、エネルギーの安全保障の向上にもつながります。

また大規模な発電所として安定した電力供給を実現できれば、化石燃料への依存度を低下させ、日本のエネルギー自給率の向上にも貢献できます。

さらにエネルギー源が太陽の光であるため、日射量さえ確保できれば、どんな場所でも設置可能という利点もあります。全国各地に分散して導入できることから、地震や災害などによる大規模停電時にも、地域の非常用電源として活用できます。

このほか短期的なメリットとして、FIT制度や市場価格にプレミアム(補助金)を上乗せした金額で買い取るFIP(フィードインプレミアム)制度のもと、発電した電気を売電することで収入を得ることができます。

また農地への復元が困難で、長年放置されたままの荒廃農地など、地域に眠った遊休地をメガソーラーの用地として利用できれば、土地の再生につながります。
さらに固定資産税などを通じて、地域への還元も可能です。

このようにメガソーラーには、温室効果ガスの削減から地域資源の再生まで、多くの導入意義を持っています。
メガソーラーのメリット

メガソーラーのデメリット・課題

一方、メガソーラーのデメリット・課題としては次のものが挙げられます。

① 発電量が天候に左右されしまう
② 設備利用率が低い
③ 景観の悪化や土砂災害など、トラブルを引き起こす恐れ
④ 屋外設置のため、災害やケーブル盗難に遭う恐れ
⑤ 出力抑制などにより、売電収入が低下する恐れ


メガソーラーは時間帯・天気・季節によって発電量が変わる変動電源です。火力発電のように電力需要に応じて、出力を上げたり、下げたりする調整機能がないため、電力の安定供給面では火力発電に劣ってしまいます。

また設備利用率が低いというデメリットがあります。 設備利用率とは、発電設備がどのくらい有効に使われているのかを示す指標です。設備利用率が高ければ、1つの発電設備からより多くの発電量を得ることができます。しかし、太陽光発電で原子力発電所1基分(100万kW)を代替するためには、約58平方キロメートル(山手線の内側面積とほぼ同じ)の面積が必要だと試算されています。
設備利用率が低いため、膨大な土地が必要になってしまいます。
さらに大量の太陽光パネルの導入によって景観の悪化や森林伐採による環境破壊などを引き起こし、各地でトラブルが発生しています。山林の伐採によって地盤が緩み、泥水や土砂が流出する被害なども続出し、時には発電設備自体が崩れ落ちるなど、防災上の問題も懸念されるようになっています。

実は、屋外かつさまざまな場所に設置されるメガソーラーも多くのリスクに晒されています。近年、増加傾向にあるのがケーブル盗難です。
一般社団法人日本損害保険協会は2024年2月、太陽光発電設備の事故発生状況に関する調査結果を公表し、「盗難による保険金支払い額が2022年度は5年前と比べ約20倍の水準に急増しており、今後も増加傾向が続いた場合、保険提供が困難になる」と警鐘を鳴らしました。

発電事業者にとっては災害や盗難による直接的な被害に加え、保険料も毎年上昇しており、想定外のコスト負担が生じています。さらに全国各地で、太陽光発電で発電した電力を制御する出力抑制が増加しており、売電収入が低下するリスクまで抱える事態になっています。 メガソーラーのデメリット

導入コストにはシステム費用以外にも土地代、工事費、造成費などさまざまな費用がかかる

さまざまなメリット、デメリットを併せ持つメガソーラーですが、普及拡大によって発電コストは急速に低下しています。

国が実施した最新の入札結果(2024年3月公表)では、加重平均価格が1kWhあたり5.11円となり、火力発電よりも安い電源になりつつあります。

メガソーラーの導入コストには、太陽光パネルなどのシステム費用をはじめ、土地代、工事費、造成費などさまざまな費用がかかります。では導入に際して、どの程度の費用が必要になるのでしょうか。

初期投資は1000kWの場合 約2.3億

1,000kW以上のメガソーラーの初期投資額はいくらかかるのか。
経済産業省の2023年の集計データによると1kWあたり22.98万円となっており、1,000kWの初期投資額はおよそ2.3億円と試算できます。

その内訳は太陽光パネルやパワーコンディショナ、架台などの設備と工事費、設計費から構成されるシステム費用が1kWあたり19.2万円となっています。2022年の18万円と比べ1.2万円上昇していますが、その要因は原材料の値上がりや円安などを受け、太陽光パネルの輸入価格が上昇したことや、人件費の高騰を受けたためです。

土地造成費は1,000〜2,000kW未満の平均値が2.02万円/kW。電力会社が所有する送電網に系統連系するための費用は1.76万円/kW(1,000〜2,000kW未満の平均値)でした。

太陽光パネルなど機器の値上がりや人件費、保険料などの上昇などを受け、今後も費用が上振れする可能性はあるものの、1,000kWの初期投資額は2億円超だと想定されています。

維持管理では災害と盗難などリスク管理が重要

屋外に設置されるメガソーラーはさまざまなリスクに晒されています。

台風や大雨などによるパネルの飛散や機器類の水災、さらにケーブル盗難。黄砂などによる汚れや損傷などによって、太陽光パネルの発電効率が落ちる恐れもあります。メガソーラーの長期安定稼働を実現するためには、パネルの洗浄や部品交換など適切な維持管理が欠かせません。

それでは運転維持費用はいくらかかるのでしょうか。
経済産業省の集計データによると、2023年の1,000〜2,000kW未満の平均値は年間0.64万円/kWでした。1,000kWの発電施設であれば年間640万円かかる計算で、FITやFIP制度の買取期間である20年間の合計金額は1億2,800万円になります。

年間640万円の費用に対して高額と感じる人もいるでしょうが、メガソーラーは太陽光パネルやパワーコンディショナ、架台やケーブルの破損や腐食、さらに植生の管理を怠れば、発電量の損失を招いてしまいます。

損失を最小限に抑えるためにも、適切な維持管理は欠かせず、トラブルの発生を未然に防ぐことで発電所の安定稼働、長寿命化を図ることができます。日本の電力需要を支える基幹電源になるうえでも維持管理は非常に重要です。

メガソーラーの導入事例と地域社会や環境への影響

日本には2023年3月末時点で、8,600件ものメガソーラーが稼働しています。
土砂災害などの発生を懸念する住民が反対運動を起こし、撤退を余儀なくされるケースもありますが、地域に眠った土地資源を再生させたり、売電収入の一部を地域に還元することで地方創生に貢献するなど、環境や地域の暮らしに調和させながら、太陽光発電を普及拡大させている事例は数多くあります。
そこで代表的な成功事例を紹介します。

国内外の成功事例

瀬戸内Kirei太陽光発電所(岡山県) http://www.setouchimegasolar.com/project/index.html
代表的な成功事例の一つが、岡山県瀬戸市に広がる塩田跡地を再利用した「瀬戸内Kirei太陽光発電所」です。
総面積約500ヘクタールという広大な錦海塩田はかつて「東洋一の塩田」と謳われ、基幹産業として地域経済を支えてきました。しかし技術革新により製塩事業が廃止されると、土地所有者は多額の負債を抱え倒産。半世紀以上にわたる紆余曲折を繰り返したことで、「負の遺産」とさえ呼ばれていました。

広大な塩田跡地を有効利用するために建設されたのが、日本最大級となる235MWの発電出力を持つ「瀬戸内Kirei太陽光発電所」でした。

2018年10月に稼働した大規模発電所はクリーンなエネルギーを供給するとともに、瀬戸市に支払う土地賃借料を通じてまちづくりにも貢献しています。

庄原太陽光発電所(広島県) https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/eco/megasora.html
地域還元型のメガソーラーとして代表的な事例が広島県庄原市に建設された「庄原太陽光発電所」です。
広島県は中国電力などと協力し、再エネの普及拡大を図るためメガソーラー事業に取り組んでいます。広島県が66.1%出資し事業組合を設立、第1期事業として庄原をはじめとする3ヶ所の県有地に合計6.6MWの発電所を建設し、2013年以降順次、稼働させています。

市町所有地3ヶ所を活用した第2期事業では3.8MWの発電所を建設し、総発電規模は10.4MWとなっています。

広島県では売電収入を地域内の再エネの普及拡大や電気代の削減などの財源に回しており、20年間で約13億円還元する計画です。

スワイハン太陽光発電プロジェクト(アラブ首長国連邦) https://www.marubeni.com/jp/news/2017/release/20170301.pdf
世界最安の太陽光発電所として世界的に注目されたのが、丸紅がアブダビ水電力省などと建設・運営する「スワイハン太陽光発電プロジェクト」です。
発電容量が117.7万kWという巨大な出力以上に世界を驚かせたのが、発電コストの安さでした。1kWhあたり2.42セントと3セントを切り、当時の世界最安値を更新したのです。

スワイハン太陽光発電プロジェクトは2019年4月に稼働しましたが、2019年度当時の日本の買取価格が14円/kWh(10kW以上500kW未満)だったことを考えると、その安さは驚異的といえます。
産油国であるアブダビでさえ、3セントを切ると天然ガス火力発電の発電コストよりも安いとされています。

地域社会や環境への影響

地域に眠った土地資源を再生し、クリーンな電力を供給する成功事例は数多く生まれています。しかしその一方で、地域社会や環境へ与える負の影響も顕在化しはじめています。

総務省は太陽光発電をめぐるトラブル状況を把握するため、導入が進む24都道府県を抽出し、調査を実施しました。2024年3月に公表した調査結果によると、回答があった861市町村のうち、約4割にあたる355市町村で何らかのトラブルが発生していました。

具体的には周辺住民への事前説明が不十分であったり、設備の敷地から泥水や土砂が流出したり、設備自体が損壊する事故などが発生しており、しかも143市町村ではトラブルが未解決のままだといいます。

自然環境や景観の保全、土砂災害などを防ぐ目的から、メガソーラーの建設に対し何らかの規制をかける自治体も増えており、いかに地域と共生を図りながら導入を推進していくかが課題となっています。

法規制と政府政策(補助金と支援制度など)

経済産業省は2050年のカーボンニュートラルの実現に向け、メガソーラーに対し買取制度をはじめとする支援政策を進めるとともに、地域との共生を目指し、法改正も行なっています。

メガソーラーの普及拡大に向けた主な支援政策は次の2つです。
FIP制度 需要家主導型太陽光発電導入支援事業

FIP制度および需要家主導型太陽光発電導入支援事業

FIP制度
FIP制度とは、再エネが発電した電気を売電した際、卸電力市場の取引価格やCO2を排出しない環境価値などに、プレミアム(補助金)を上乗せした金額が支払われる制度です。
固定価格で買い取るFIT制度とは異なり、FIP制度は市場価格に連動するため、売電価格が変動することが大きな変更点です。
1,000kWを超えるメガソーラーは2022年4月からFIT制度の対象外となり、FIP制度に移行しています。

需要家主導型太陽光発電導入支援事業
需要家主導型太陽光発電導入支援事業は、需要家(企業)、小売電気事業者、発電事業者の3者が連携し、太陽光発電設備を導入する際、経費の一部を補助する支援政策です。

補助対象となる主な要件は下記のとおりです。
FIT/FIP制度ならびに自己託送制度を利用しないこと 2MW以上の新設設備で、補助対象経費のうち蓄電池を除く単価が23.9万円/kW(ACベース)未満であること 年以上にわたり電気の利用契約を締結すること
経済産業省では2021年度の補正予算から補助事業を実施しており、これまで70件、326MWの事業を採択してきました。2023年度の補正予算に160億円、2024年度には100億円を予算計上し、さらなる普及を促進しています。
※いずれの予算額も再エネ電源併設型蓄電池導入支援事業を含む


経済産業省ではメガソーラーの普及拡大を図る一方、地元住民との間で発生するトラブル抑制に向け、法改正も実施しています。

2024年4月1日から「再エネ特措法(再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法)」が改正され、メガソーラーはFIP認定の条件として、住民説明会の開催が要件化されました。
またこれまで法令違反があっても早期の是正が難しかったことを受け、法改正により違反のある発電事業者に対し、売電収入の一時停止が可能となりました。
改正後、無許可で森林開発などを行なっていた太陽光発電事業者9社に対し、経済産業省は「交付金(売電収入)を一時停止する」措置を取っており、地域と共生した再エネの普及に向け、今後も規律の強化を図る考えです。

メガソーラーの未来:技術進化と市場拡大

メガソーラーは大規模発電所として安定した電力供給を実現できれば、生成AI・データセンターや半導体工場の新設などで今後予想される電力需要の増加への対応が可能となります。さらに電力コストの削減や電気料金の安定化にも寄与できます。
その一方で、国土が限られる日本ではメガソーラーの新規開発に適した用地は減少傾向にあり、いずれ限界を迎えるだろうと指摘されています。

こうした中、太陽光パネルを海の上に浮かべて発電する「洋上太陽光発電」など、技術進化によってメガソーラーの未来を切り開く取り組みがはじまっています。

新技術と次世代ソーラー「洋上太陽光発電」

国内初となる「洋上太陽光発電」の実証実験は、東京都の補助のもと、東京ベイエリアにおいて三井住友建設https://www.smcon.co.jp/topics/2023/12251300/、東急不動産https://www.tokyu-land.co.jp/news/uploads/37f64a2c2d7cbc323a8a7cf073c8965da60d421a.pdfがそれぞれ実施するもので、発電容量100kW程度の太陽光パネルを海上に設置。2025年3月末までの実証期間中、風や波、塩害など海上環境下での耐久性や発電量などの検証を行います。

これまでため池などに太陽光パネルを設置する水上メガソーラーはありました。しかし、利用できるため池が無尽蔵にあるわけではなく、さらに火災事故が発生するなど安全性の懸念から、普及は限定的でした。

四方を海に囲まれた日本において、洋上太陽光発電が実用化されれば、メガソーラーの拡大に向けた新たな手段となります。そのため実証実験の動向に注目が集まっています。

持続可能なエネルギー源としての可能性

メガソーラーは太陽の光エネルギーがある限り、発電できる持続可能なエネルギー源です。
また火力発電とは異なり燃料費がかからず、発電コストが一定という特徴も持ち合わせています。そのためFIT/FIP制度の支援のもと初期費用をすべて回収し終えたメガソーラーは、安価な電力供給源になると期待されています。

ただし、安価な電気を安定的に供給するうえで、克服すべき課題が次の2点です。
天候などで変動する発電量の安定化 20年を超える長期安定稼働

一つ目が、天候や時間帯、季節の変化とともに変動する日射量の影響で発電量を一定にすることが難しい点です。
電力需要が少ない昼間、発電量を適切に抑制しなければ、電力の過剰供給を起こす可能性が今、日本全国で高まっています。一方、出力抑制によって発電量が減少すれば、売電収入の低下が避けられず、発電所の運営に影響を与えかねません。

収益性の向上、そして発電量の安定化に向けては、蓄電池を併設し、電力需要が少ない時間帯=電力価格が低い時間帯は蓄電池に電力をため、電力需要が高い時間帯=電力価格が高い時間帯にためた電力を売るといった、新たな取り組みが重要になってきます。

またFIT/FIP制度の買取期間終了と同時に、発電設備の廃棄が繰り返されてしまうと、再エネ電源の増加という政策は叶わず、国民負担のみが残るという事態を迎えてしまいます。
太陽光パネルの寿命は一般的に20〜30年とされており、適切なメンテナンスや設備の更新をすることで、長期の安定稼働が可能になります。とりわけ大規模な出力を持つメガソーラーは長期安定稼働が求められています。 地域との共生とともに、発電事業の収益性向上、長期安定稼働いずれも両立することができれば、メガソーラーは今後も持続的な成長を遂げられるでしょう。

まとめ

メガソーラーが持つ社会的意義は温室効果ガスの削減をはじめ、電力コストの安定化や電気代の削減のほか、荒廃農地など地域資源の再生や地方創生まで、数多くあります。

世界の平均気温が観測史上最高を記録したように、日本をはじめ世界各地で気候変動による被害は激しさを増しています。またウクライナ侵攻や中東情勢の緊迫化は、エネルギーの安全保障を大きく揺るがしました。
地球温暖化やエネルギーの安定供給などの解決策として、出力規模が大きく、持続可能なエネルギー源であるメガソーラーが果たす役割も一層高まっています。

その一方で2023年8月、福島市が「ノーモアメガソーラー」を宣言したように、景観の悪化や森林伐採などを受け、メガソーラー建設に対する不安が広がりつつあります。

メガソーラーの普及に向けては、地域社会や暮らしと調和した開発、洋上太陽光発電などの技術革新、蓄電池などを組み合わせた発電量の安定化や収益性の向上などの取り組みが欠かせません。
社会からの要請に一つ一つ応えながら、メガソーラーの価値を一層高めていくことが求められています。

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