コラム
Column
2025.11.04
RE100とは?加盟企業や電力供給の仕組みについて解説
気候変動は、資源や原材料の生産量の低下や労働環境の悪化、災害による資産損失などをもたらし、企業活動にも多大な影響を与えています。深刻化する気候変動を食い止めようと、世界では、政府のみならず、企業が脱炭素社会への移行を目指し、さまざまな取り組みをはじめています。その一つが「RE100」で、日本企業も参加しています。
今回は、事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーでまかなうことを目指す企業が加盟する、国際的なイニシアチブである「RE100」とは何なのか?持続可能なビジネスを目指す企業の実例を紹介しながら、解説します。
目次
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【再エネ取り組みロードマップ紹介】
資料ダウンロード弊社での導入事例を元にRE100達成までの
道のりをご説明します。 -
RE100とは
RE100とは、Renewable Energy 100%の略称で、事業活動で使う電力を100%再生可能エネルギーでまかなうことを目指す企業が加盟する、国際的なイニシアチブです。
2014年、イギリスの非政府組織「The Climate Group」の主導のもと発足しました。
RE100には、世界で影響力を持つアップルやグーグル、マイクロソフトなどの巨大ITから、ゼネラルモーターズなどの自動車メーカーまで、多様な分野から500社以上(2024年時点)が参加しております。
日本においては、2017年にリコーが日本企業としてはじめて参加を表明して以降、年々増加しており、2024年11月時点で88社が参加しています(出典:一般社団法人日本気候リーダーズ・パートナーシップ「RE100・EP100・EV100 国際企業イニシアチブについて」)。国別参加企業数ではアメリカの94社(出典:RE100「RE100Members」)に次いで世界第2位(2024年11月時点)となっています。
RE100では、「自然由来の原料は健全な自然環境に依存しており、気候変動は原料調達に深刻なリスクをもたらす」、あるいは「温室効果ガス排出量の多い化石燃料の使用は、気候変動をさらに助長させる」との認識のもと、影響力を持つ世界の企業が結集し、再エネ導入を加速することで、政府に気候変動対策を促し、脱炭素社会の実現を目指しています。
そのため参加企業は、原則として2050年までの間に消費するすべての電力を再エネに転換することを目指し、進捗状況と実績を毎年報告することなどが求められています。
気候変動がもたらす経営リスク
気候変動は企業活動に大きな影響を及ぼすことが想定されており、再エネ転換を果たさないことは、さまざまな経営リスクをもたらします。
具体的なリスクは次のとおりです。
洪水などの自然災害
長期的な気候変動
炭素税など法や規制の変化
資金調達リスク
サプライチェーンからの除外
化石燃料由来のエネルギーコストの上昇
特定サービス・商品の需要変化
気候変動は資源や原材料の生産量と品質の低下をもたらします。実際にコーヒー豆やカカオの生産量が低下しており、コーヒーやチョコレートの価格が高騰しています。日本においても、酷暑の影響から米の生産量が減り、2024年には「令和のコメ騒動」と呼ばれた米不足と価格の高騰が起こりました。
洪水などの自然災害を受け、店舗や施設の被災、物流機能の停止など、企業活動に大きな損失を与えています。長期的な気候変動は生産能力・作業能力の低下や生産コストの上昇を招き、企業の財務状況を圧迫します。
脱炭素への取り組みが十分でないと判断されれば、資金調達リスクの増加を招くだけでなく、サプライチェーンや取引先から取引を解消される可能性も高まります。すでにアップルやマイクロソフトのほか、積水ハウス、ソニーグループ、トヨタ自動車、日立製作所などはサプライヤーにCO2削減を要請しています。
市場ニーズの変化によっては、化石燃料を使用する商品やサービスに対する需要が減り、市場や顧客を失う可能性さえもあります。
RE100に参加するメリット
RE100への参加は、企業のCO2排出削減目標の達成につながるのみならず、持続可能なビジネスモデルを構築できます。
具体的なメリットは次のとおりです。
自社商品の比較優位性や競争力の確保・強化
新たな取引機会の獲得
資金調達の円滑化
化石燃料の価格変動リスクの低下
操業コストの減少
脱炭素は単なる環境問題にとどまらず、企業にとっては新たな投資機会の獲得や中長期的な利益確保につながる戦略的テーマです。
再エネへの転換は、サプライチェーン全体での脱炭素を目指す企業との取引を維持するだけでなく、新たな取引機会を獲得し、売り上げの拡大にもつながります。また、化石燃料価格が高騰する中でも、燃料費などの高騰リスクを抑え、コスト削減や業務効率化を図ることも可能です。
さらに、金融機関や投資家も気候リスクの低い企業への投資を加速させており、RE100への取り組みは、資金調達の円滑化を後押しします。
このように企業にとって、RE100への取り組みは気候変動リスクの低減と持続的な成長に密接に結びついています。多くの企業において「再エネ転換は社会貢献ではなく、自社商品の比較優位性や競争力の確保・強化のために欠かせない」という意識のパラダイムシフトが起きています。
国内外の主要なRE100参加企業
RE100には、世界的に影響力を持つ企業が加盟しており、その数は500社(2024年現在)にのぼっています。日本からの参加企業も年々増え、2024年11月時点で88社となっています。巨大ITをはじめ、自動車メーカー、金融、小売りなど、多様な分野から企業が参加しております。
RE100の仕組み
RE100は、社会に影響力のある企業が集まるほど、再エネ転換を加速させるための政策を政府に要請する大きな力になる、と考えています。 そのため参加条件が設けられており、調達する再エネ電力にも技術的な要件が規定されています。
RE100の参加条件とプロセス
RE100への参加条件は下記のとおりです。
- 消費電力量が年間100GWh以上であること(日本企業は消費電力量50GWh以上に緩和されています)
- 自社事業で使用する電力(GHGプロトコルのスコープ2の電力消費)の100%再エネ化に向け、期限を切った目標を設定し、公表すること
- グループ全体での参加及び再エネ化にコミットすること(親会社から見て、支配率50%以上の子会社すべてがRE100の参加対象)
一方、RE100への参加対象外企業も規定しています。
- 化石燃料推進または、再エネ普及を妨害するロビー活動や、化石燃料資産の増加取り組み、人権侵害や犯罪行為など、RE100のミッションや信頼性に影響を与える可能性のある企業
- 主要な収入源が化石燃料、航空、軍需品、ギャンブル、タバコ産業のみ属する企業
- 主要な収入源が化石燃料事業の企業
RE100でコミットする再エネ100%目標に関しても、期限が設定されています。
目安の目標として、「2050年までに100%、2030年60%、2040年90%」が設けられています。
目標達成に向けて、RE100参加企業は、毎年、The Climate Groupに対して進捗報告を行うことも規定されています。報告項目は下記のとおりです。
- 企業情報(売上高など)
- 目標(再エネ目標・戦略・ロードマップ)
- 実績(消費電力量、再エネ購入量、再エネ発電量)
RE100に参加する場合、RE100事務局(イギリス)に連絡を取り、申込用紙に必要事項を記入して、事務局にメールで送信する必要があります(RE100参加のお問い合わせはこちら(英語サイト))。
日本においては、日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)がRE100の地域パートナーとなり、参加を支援しています。
再生可能エネルギーの認証と基準
RE100参加企業が調達する再エネ電力に基準が設けられています。
主な規定は次の2点です。
再エネの種類
再エネ電力の調達方法
RE100が規定する再エネの種類は下記のとおりです。
太陽光発電
風力発電
地熱発電
持続的に調達可能なバイオマス発電(バイオガス発電も含む)
持続可能な水力発電
水素は対象外となりますが、再エネから製造した水素=グリーン水素であれば要件に適合します。
RE100が規定する再エネ電力の調達方法は下記のとおりです。
- 自家発電:自社が保有する設備で発電
- 直接調達:オンサイトPPAやオフサイトPPAで直接調達
- 再エネ由来電力メニューを契約
- 再エネ電力証書の購入
2022年10月、RE100における再エネ調達方法などを規定する技術要件が改定され、2024年1月以降に調達する電力に対し、いわゆる「15年ルール」が追加されています。
「15年ルール」とは、再エネ電源からの購入電力については、運転開始日またはリパワリング日から起算して15年以内の電源からの調達が必要とされました。
改定背景にあるのが「追加性」という概念です。
追加性とは、古い再エネ電源よりも、新しい再エネ電源に対してより高い価値を認めることで、地球規模での再エネ電源の拡大、普及促進が実現するという考え方です。
「15年ルール」は2024年1月1日から使用する電力に対して適用されており、再エネ由来電力メニューや再エネ電力証書を購入する場合、運転を開始して15年以内の設備に限る、などの制限が設けられています。調達方法における15年ルールの関係性は次のとおりです(出典:経済産業省「高度化法の中間目標について」(17ページ))。
- 自家発電:制限なし
- 直接調達:制限なし
- 再エネ由来電力メニュー:制限あり
- 再エネ電力証書:制限あり
例外も規定されています。詳細は次のとおりです。 2023年12月31日までに契約した電力は適用外 RE100参加企業が年間に使用する電力量のうち15%までは運転開始日の制限から除外可能
15年ルールが日本にもたらす影響とは
自家消費と直接調達(コーポレートPPA)については、追加性のある電力の拡大に企業が貢献する点が評価され、運転開始から15年を超えても継続して利用することが認められています。そのため、RE100参加企業を中心に、自家発電やコーポレートPPAの導入が加速する見込みです。
再エネ由来電力メニューと再エネ証書は、運転開始から15年以内の発電設備の需要が増加すると予想されています。
「追加性」の概念が日本においても浸透しており、企業は再エネ電力の調達に際し、より「追加性」の高い再エネ電力を採用する機運がより高まってくるため、再エネ電源の新設が促進されると期待されています。
国内におけるRE100達成に向けた展開の課題
RE100を達成するためには、十分な量の再生可能エネルギーが必要になりますが、日本国内においては以下のような課題があります。
発電能力の不足
日本は国土が狭く、適した土地が限られているため、太陽光や風力発電設備の設置が制約されています。先述のPPAにおいて、現状では太陽光発電が主流になっている一方、設置対象となる屋根面積には限りがあり、小規模な発電設備しか設置できないケースが多いため、大量の電力を消費する工場などでは、オンサイトPPAだけでは必要な電力量をまかないきれず、不足分を別途調達する必要があります。
天候依存性
再生可能エネルギーは、太陽光や風力などの自然条件に依存しており、天候の変化によって発電量が大きく変動します。特に日本では台風や梅雨など季節的な影響が大きく、安定的な電力供給が課題となっています。冬季の曇天や夏場の猛暑の影響で太陽光発電の効率が低下するケースがあり、地域ごとのエネルギー供給量に差が生じることも問題視されています。さらに、安定した電力供給のためには、蓄電システムや予備電力の確保が必要ですが、現時点では整備が十分ではありません。
コストの課題
再生可能エネルギーの導入コストが依然として高いため、RE100への取り組みを進めるためには、企業の経済的負担が増加するケースが多くなります。再生可能エネルギーを普及させるための補助金やインセンティブが十分ではなく、導入コストを削減する取り組みが進んでいない点も課題です。
RE100の成功事例
JCLPによると、「2022年、RE100に参加する日本企業が国内で調達できた再エネ電力量は、世界平均の50%に対して、わずか25%」であり、日本では「高いコスト」「限られた供給量」「調達の難しさ」によって、再エネの確保が難しいと指摘しています。
そうした環境下において、100%再エネ化を達成した企業の成功事例を紹介します。
成功している企業の事例研究
大和ハウス工業
大和ハウス工業は2018年3月にRE100に加盟し、2020年4月から全国の事業所や施工現場などで再エネ由来の電力の本格導入を開始しました。
2022年度、国内における購入電力のすべてを再エネに切り替えたと発表しました。
具体的には2022年度に購入した電力量12.8万MWhにおいて、建物屋根に設置した太陽光発電の自家消費や、電力会社からの「再エネ由来電力メニュー」、化石燃料の電力でないことを証明する「トラッキング付き非化石証書」を購入することで、100%再エネ化を達成したとしています。
なお、非化石証書のうち、約95%が自社グループ運営の再エネ発電所由来としています。
今後は、自社が開発・運営する再エネ発電所で発電される約83万MWh(2022年度実績)の電力を活用しながら、大和ハウスグループが国内外で購入する電力をすべて再エネに切り替え、2025年度までにRE100を達成すると表明しています(出典:大和ハウス工業株式会社「■自社グループの発電所由来の再生可能エネルギーを最大限活用 2022年度における購入電力の100%再生可能エネルギー化を達成しました」)。
楽天グループ
楽天グループは2019年12月RE100に加盟し、2021年には楽天単体の事業活動に使用する電力において、電力の再エネ属性を証明する「FIT非化石証書」を利用し、実質100%再エネ化を達成しています。
2022年9月には、楽天グループ全体における2023年までのカーボンニュートラル達成を目標に掲げ、2024年5月、連結子会社を含め、グループ全体でのカーボンニュートラル達成を発表しました。
達成手法は、FIT非化石証書の購入が主体であり、一部物流施設などでは、太陽光発電設備を設置し、太陽光発電による再エネ由来電力を活用しています(出典:楽天グループ株式会社「楽天、2023年度の楽天グループ全体におけるカーボンニュートラルを達成」)。
セイコーエプソン
セイコーエプソンは2021年3月、全世界のエプソングループ拠点において、使用する電力を2023年までに100%再エネ化すると宣言しました。
2021年11月には国内で完了し、2023年12月、グローバル拠点で再エネ転換が完了したと発表しました。日本を含めた全世界の拠点において、再エネ化を完了したのは国内の製造業で初めて(日本のRE100加盟企業の内。2024年1月9日時点。エプソン調べ)の取り組みです。
その結果、エプソングループの年間使用電力量約876GWhのすべてを再エネ化したことになり、およそ年間40万トンのCO2削減効果を生み出しています(出典:セイコーエプソン株式会社「エプソングループ、グローバル全拠点*1の使用電力を100%再生可能エネルギー化」)。
RE100達成への具体的な戦略
RE100達成への具体的な戦略を立てるうえで、RE100参加企業がどのように再エネを調達しているのかを知ることが重要です。
RE100年次報告書(2023年)では、グローバルおよび日本の再エネ調達方法を比較しており、次のような結果になっています(出典:日本気候リーダーズ・パートナーシップ「需要家企業からみた再エネ調達の課題と求める施策」)。
グローバル
環境価値証書の購入:41%
PPA:31%
再エネ由来電力メニュー:24%
自家発電その他:4%
日本
再エネ由来電力メニュー:62%
環境価値証書の購入:30%
PPA:3%
自家発電その他:5%
グローバルでは環境価値証書の購入およびPPAの割合が高い一方、日本は電力会社からの再エネ由来電力メニューの比率が62%と非常に高いことがわかります。
日本における再エネは、いまだコストが高く、供給量も限られており、調達が難しいことから、電力会社が提供する再エネ由来電力メニューを契約することが、RE100達成に向けた第一歩になっています。
またFIT非化石証書などの環境価値の購入も戦略の一つになっています。
RE100参加企業が増えた結果、再エネ電力需要は2022年の11.0TWhから2030年には40.1TWhと、3.7倍増加することが見込まれています。
JCLPは、「日本のPPAが占める割合はグローバルの10分の1」と指摘しており、RE100達成には、「PPAや自家発電などを拡大し、多様な調達方法を確保することが必要だ」と再エネのさらなる拡大を求めています。
RE100実現のためのFPSのサービス
「高いコスト」「限られた供給量」「調達の難しさ」によって、再エネの確保が難しいとされる日本において、RE100を実現させるためには、様々な調達方法の導入が必須となります。
FPSでは、電力メニューとセットで非化石証書を調達し、CO2排出量を削減する「gREenオプション」や、非化石証書の購入代行、コーポレートPPAなど、お客様の目標やご予算・ご要望に合わせてカスタマイズしたサービスのご提案が可能です。
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