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2026.04.30

コスト削減と安定供給の両立!電力会社が注目する系統用蓄電池導入の経済効果

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系統用蓄電池とは?なぜ注目されているのか?

近年、「系統用蓄電池」という言葉を目にする機会が急速に増えています。電力業界に限らず、再生可能エネルギーやインフラ投資に関心のある企業にとっても重要なテーマとなっています。

その背景には、日本の電力市場の大きな変化があります。電力自由化により新規参入が進む一方で、太陽光や風力といった再生可能エネルギーの導入が拡大しています。現在の再生可能エネルギー比率は20%台前半で推移しており、2030年には36〜38%程度まで引き上げる目標が掲げられています。

一方で、再生可能エネルギーは天候によって発電量が変動するという特性があり、電力の安定供給を維持するための調整力がこれまで以上に求められています。この課題を解決する手段として注目されているのが系統用蓄電池です。

さらに、「電力を貯めて売る」ことで収益を生み出すことができる点も、企業や投資家の関心を集めている理由の一つです。

系統用蓄電池とは

基本概念の解説

系統用蓄電池とは、送配電ネットワークに直接接続される蓄電池設備のことを指します。家庭用や工場用の蓄電池とは異なり、特定の需要家ではなく電力系統全体に対して機能するインフラです。

主な役割は以下の通りです。
電力の需給バランス調整 周波数の維持 再生可能エネルギーの余剰電力の吸収 規模としては数kWhから数百MWh程度が一般的で、投資額は数十億円規模に達することもあります。

また、電力市場を活用することで「安く充電して高く売る」という運用が可能となり、収益を生み出す設備としての側面を持ちます。

これまでの産業用・家庭用蓄電池との違い

従来の蓄電池は、家庭や工場内に設置されるケースが主流でした。これらは主に停電対策(BCP対策)や電気料金削減(ピークカット)を目的としています。

一方で、系統用蓄電池は電力系統に直接接続されるため、電力市場での取引を前提とした設備となります。つまり、「自家消費」ではなく「売電」を主目的とする点が本質的な違いです。

家庭用蓄電池の容量は数kWh〜十数kWh程度ですが、系統用蓄電池は数十MWh規模に達するものも多く見られます。このように、規模の違いだけでなく、収益モデル自体が大きく異なります。

この違いにより、系統用蓄電池は「コスト削減設備」ではなく「投資対象」としての性質を持つようになっています。

系統用蓄電池の増加予想

国内における系統用蓄電池の導入量は、今後大きく拡大していくと見込まれています。2030年に向けて導入拡大が進むとされており、数十GWh規模への成長が示されています。 イメージ 出典:経済産業省 資源エネルギー庁「次期エネルギー基本計画の策定に向けたこれまでの議論の整理(再生可能エネルギー関係)」(77ページ)

この背景には、再生可能エネルギーの拡大があります。再生可能エネルギー比率の上昇に伴い、電力の変動を吸収するための設備として蓄電池の重要性が高まっています。今後は発電所と同様に、電力インフラの中核を担う存在になると考えられています。

電力市場における系統用蓄電池の役割

系統用蓄電池の特徴は、複数の市場を活用して収益を得られる点にあります。主な市場は以下の3つです。

卸電力市場での値差収益獲得

卸電力市場では、時間帯や需給状況に応じて価格が大きく変動します。一般的に、需要の少ない時間帯では数円〜10円/kWh程度で推移する一方、需要が高まる時間帯には20円/kWhを超える水準となるケースも見られます。

こうした価格差を活用することで収益を得ることが可能です。蓄電池の容量や運用方法、市場環境によって大きく変動しますが、一定の条件下ではまとまった収益機会が見込まれるケースもあります。

需給調整市場での収益獲得

需給調整市場では、電力系統の安定性を維持するための調整力に対して報酬が支払われます。蓄電池は応答速度が速く、短時間で出力を調整できる特性を持つことから、こうした用途への活用が期待されています。

中でも一次調整力は即時性が求められる領域であり、蓄電池の特性と親和性が高いとされています。一方で、具体的な単価や収益水準は市場制度や入札状況に応じて変動するため、個別の運用戦略が重要となります。

容量市場での収益獲得

容量市場では、将来の供給力としての価値に対して報酬が支払われます。これは実際の発電量ではなく、「必要なときに供給できる能力」に対して評価される仕組みです。

過去のオークションにおいて一定の価格水準が形成されており、蓄電池にとっては中長期的な収益基盤の一つとして位置づけられています。

こうした収益は市場環境や制度の変化によって変動するものの、他の市場と組み合わせることで、収益の安定性向上に寄与する点が特徴です。

電力市場における系統用蓄電池の課題

系統用蓄電池は、電力市場を活用することで収益機会が期待できる一方で、導入や運用にあたって押さえておくべき課題もあります。特に、事業化までのスケジュールや収益の安定性は、検討段階で確認しておきたいポイントです。

系統接続の期間

系統用蓄電池は電力系統に接続して運用するため、導入に際して接続に関する確認や調整が必要になります。案件条件や接続先エリアの状況によっては、検討に一定の期間を要する場合があります。

そのため、導入を検討する際は設備仕様や収益性だけでなく、事業開始までのスケジュールも含めて計画することが重要です。

収益の変動リスク

系統用蓄電池の収益は、卸電力市場や需給調整市場などの価格動向に影響を受けます。市場環境や制度の変化によって収益水準が変動するため、想定どおりの収益を確保できない場合もあります。

そのため、導入時には単一の前提に依存せず、複数のシナリオを踏まえて事業性を評価することが重要です。

導入に関わるコストと各種制度

初期投資コストの現状と低下見通し

系統用蓄電池の導入コストは、仕様や設置条件、調達方法によって幅がありますが、近年では1kWhあたり数万円台まで低下しており、導入ハードルは大きく下がりつつあります。

特に大規模案件や海外製機器の活用などにより、さらに低コストでの導入事例も見られます。一方で、設備構成や系統接続条件によってはコストが上振れするケースもあり、個別案件ごとの検討が重要です。

また、蓄電池価格は過去10年で大きく低下しており、今後も技術進展や量産効果により、さらなるコスト低減が期待されています。

蓄電池に対する補助金制度

日本では、系統用蓄電池の導入を後押しする各種補助制度が整備されています。国の支援策に加え、自治体による導入支援もあり、事業規模や用途に応じて活用できる可能性があります。

補助内容は制度ごとに異なりますが、設備費の一部が補助対象となるケースが多く、初期投資負担の軽減につながります。近年は再生可能エネルギーの拡大を背景に、蓄電池関連の支援策も拡充される傾向にあります。

補助制度を適切に活用することで、投資回収の見通しを改善し、系統用蓄電池ビジネスへの参入ハードルを下げることが可能です。

長期脱炭素電源オークションの活用

長期脱炭素電源オークションは、再生可能エネルギーや蓄電池などの脱炭素電源の導入を促進するため、国が長期的な収入を保証する競争入札制度です。

長期脱炭素電源オークションでは15〜20年の長期契約により収益の安定化が図れます。これにより、投資回収の見通しが立てやすくなります。

再生可能エネルギー併設型の系統用蓄電池

再生可能エネルギーの特徴と欠点

再生可能エネルギーは環境負荷が低い一方で、出力が天候に左右されるという課題があります。
太陽光:夜間は発電できない 風力:風況により出力が変動
この不安定性が電力系統の運用を難しくしています。

再生可能エネルギーと蓄電池を併設することによるメリット

蓄電池を併設することで、再生可能エネルギーの出力変動という課題に対し、複数の観点から価値を創出することが可能になります。

主なメリットは以下の通りです。 出力制御の影響を抑え、発電した電力の有効活用につなげる 市場価格に応じた売電タイミングの最適化 収益の最大化と平準化の両立
まず、出力制御への対応です。再生可能エネルギーは、系統制約などにより発電を抑制されるケースがありますが、蓄電池を併設することで余剰電力を一時的に蓄えることが可能となります。これにより、発電した電力を無駄にすることなく、後の需要が高まるタイミングで売電することができます。

また、市場価格に応じた柔軟な運用も重要な要素です。電力市場では時間帯によって価格が変動するため、蓄電池を活用することで価格の高い時間帯に合わせた売電が可能となります。こうした運用は、いわゆるアービトラージ取引として広く活用されています。

さらに、発電量・市場価格・プレミアム(FIP制度)など複数の要素を踏まえた運用を行うことで、単なる売電にとどまらない収益機会の創出が期待されます。結果として、収益の最大化とともに、価格変動リスクの平準化にも寄与します。

系統用蓄電池におけるアグリゲーターの必要性

アグリゲーターとは

アグリゲーターとは、複数の蓄電池や電源を統合し、電力市場で最適に運用する事業者です。市場分析や運用計画の策定、リアルタイム制御などを担います。

なぜアグリゲーターが必要なのか

系統用蓄電池の収益は、卸電力市場、需給調整市場、容量市場といった複数の市場を横断しながら最適に運用できるかどうかに大きく左右されます。これらの市場はそれぞれ制度設計や価格形成の仕組みが異なり、短期的な価格変動も大きいため、単独での運用には専門的な知見と高度な判断が求められます。

こうした背景から、近年ではアグリゲーターの活用が重要な選択肢として位置づけられています。

アグリゲーターを活用する主なメリットとして、以下の点が挙げられます。

卸電力市場価格予測によるアービトラージ収益の最大化

アグリゲーターは、電力小売事業で培ったノウハウと機械学習を活用した自社開発の卸電力市場価格予測モデルをもとに、充放電のタイミングを最適化し、アービトラージ収益の最大化を目指します。価格の安い時間帯に充電し、高い時間帯に放電するという基本戦略を、高精度な予測モデルによって継続的に実行することで、収益機会を最大限に引き出すことが可能です。

卸電力市場では30分ごとにスポット価格が変動するため、予測精度の高さが収益に直結します。機械学習を用いた価格予測により、どのコマで充電・放電を行うかを定量的に判断することが可能となり、人手による運用と比較して収益の安定性・再現性が大幅に向上します。

複数市場の活用による収益機会の拡大

アグリゲーターは、複数の蓄電池や発電設備を束ねてポートフォリオとして管理し、卸電力市場、需給調整市場、容量市場といった複数の市場に戦略的に参加します。

これにより、単独の設備では取りきれない市場機会を活用できるほか、価格変動リスクを分散しながら収益機会を確保することが可能となります。市場ごとの特性を踏まえた運用により、柔軟かつ効率的な収益確保が期待されます。

データ活用による運用最適化

系統用蓄電池の収益は、充放電のタイミングや市場価格の見極めに大きく依存します。アグリゲーターは、価格予測や需給分析、設備稼働状況などのデータを統合的に活用し、最適な運用戦略を設計します。

これにより、 どの市場にいつ参加するか どのタイミングで充電・放電を行うか どの程度の容量を確保するか
といった判断をデータに基づいて行うことが可能となり、収益の最適化につながります。

まとめ

系統用蓄電池は、電力の安定供給と収益創出を両立する新たなインフラとして、今後さらに重要性を増していく分野です。再生可能エネルギーの拡大、制度整備、コスト低下といった複数の要因が重なり、市場は成長局面にあります。

一方で、収益性は設備の性能だけでなく「運用戦略」に大きく依存します。複数の電力市場を横断しながら最適な判断を行うことは容易ではなく、専門的な知見が求められる領域です。

そのため、以下のような課題をお持ちの企業様も多く見られます。 系統用蓄電池ビジネスへの参入を検討しているが、何から始めるべきか分からない 投資判断に必要な収益シミュレーションができていない 卸市場・需給調整市場・容量市場の最適な活用方法が分からない 自社での運用に不安があり、専門的な支援を検討している
こうした課題に対しては、アグリゲーターとの連携が有効な選択肢となります。

FPSでは、系統用蓄電池の市場分析、収益シミュレーション、運用最適化まで一貫した支援を提供しています。個別案件に応じた事業性評価や具体的な収益モデルの検討も可能です。

まずは情報収集の段階でも問題ありません。系統用蓄電池ビジネスに関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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